日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

    2013.07.24
    母は命がけ

    国道から光徳まで続く遊歩道の周辺では、シカやクマなどの動物によって、たくさんの木で樹皮が剥がされています。

    そんな痕をよく観察すると、今の時期、こんな光景が見られるかも。
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    オナガキバチ(キバチ科)

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    オナガバチの1種(ヒメバチ科)

    木の内部に産卵するハチたちです。

    これらのハチは、産卵管がとてもなが~く発達しています。
    あまりに長すぎて、スズメバチやミツバチの毒針ように、人を刺すことはできませんのでご安心を。
    (もともとハチの針は産卵管が変形したもので、メスにしかありません)

    オナガキバチの幼虫は木を食べて育ち、オナガバチは木の中に潜む他の昆虫(カミキリムシやキバチなどの幼虫)に寄生します。

    しかしこの産卵、実は文字通り“命がけ”。

    皮を剥がされて間もない木は、たくさんの樹液(ヤニ)を出します。
    このベタベタにうっかり捉まってしまうと・・・
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    このように、産卵管が抜けなくなって、死んでしまうこともあります。

    また、途中で脚を滑らせて“宙ぶらりん”になると、もはや脱出不能。
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    なれの果て(腹部のみ)・・・

    もし、運よく産卵を見かけたら、そっと彼女たちを応援してやってください。
    ガンバレ、かーちゃん!

    (T-村)