日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2013.08.02
新・山の上からこんにちは vol.18

こんにちは、日光自然博物館です。
奥日光の自然情報を中心に、日光での話題や最新情報、さらに日光自然博物館のイベント情報をカテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしています。

■本日の奥日光の状況 曇り・18℃(博物館9:00現在)

 今回は「高山(たかやま)」の上からのこんにちはです。

高山は標高が1667mありますが、登る場合の高低差は300mほどの比較的低い山です。ふもとを歩くと、小田代原でも見られる様々な花が咲いています。

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花がぶら下がったラッパのようなキツリフネや、

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蜜を吸いに来たハチに花粉を運んでもらうノアザミ

「奥日光にもようやく夏が来て、きれいな草花が咲いているのはもう知ってるよ」

というあなた・・・

今回は少し植物から目を離して、そこで暮らしている小さな生き物たちに関心を向けてみましょう。

 高山で歩を止めて辺りを見渡すと、一番よく出会えるのはスズメバチの仲間です。周囲を忙しそうに飛び回っていました。早速、働きバチたちの職場見学をさせてもらいましょう!
※もちろん、いたずらして仕事の邪魔をすると攻撃されるので、静かに見るだけという約束です

最初に後をついていったハチは「キオビホオナガスズメバチ」でした

ブーンと飛んで、ピタッとくっついたのは乾燥した木の表面。

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木の繊維を何度も何度も噛んで細かくしているようです。巣材を集める仕事中でしょうか。スズメバチは木の繊維と自分の唾液を混ぜて巣の壁の材料を作るといいます。

仕事が一段落したのか、ハチはまたどこかへ飛び去っていきました。

「お邪魔しましたー

別れを告げて、またしばらく歩くと

ババババババババババッ!

突如足元から大きな音が、なんとトンボが地面でのたうちまわっています。

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よく見るとトンボの背中にハチが!どうやらこのハチの仕事は家族が食べるエサの調達のようです。

しかしトンボは体が大きく、小型昆虫を捕食するための鋭いあごも持っています。これにがむしゃらに暴れられるのだから、ハチも決して油断はできないでしょう。

さあこの戦いどうなる?!

最初はもみ合っていた2匹ですが、勝負は意外にも早く決まりました。ハチが真っ先にトンボの頭部を強力なあごで噛み切ったのです。

武器を失ったトンボはもうなす術もありません。ハチはそれから羽、尻尾と、まるでハサミのようにあごを使ってどんどんトンボを解体していきました。

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私がこのハチの見学を始めてから2、3分ののち、ついにトンボは足のついた胸部のみとなってしまいました。

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そして大きな獲物を抱えてまたどこかへ去って行きました・・・

 こうしてハチたちの職場見学を終えた私は、コエゾゼミの鳴き声をBGMに、高山を後にしました。

 この時期、奥日光ではホザキシモツケをはじめとした様々な花が咲いています。歩いていてそれらが目に入ると、ついついそちらばかりに目が行きがちですが、そこでは毎日を命がけで生きている生命があります。

ぜひそういった自然の一面にも目を向けてみてはいかがでしょう。(あき)

■イベント情報

8月の週末は、自然解説員と一緒に、奥日光の自然を歩いてみませんか?!
定員は各回20名です。

①戦場ヶ原ガイドウォーク(8月の毎週土・日曜日、但し31日は除く、各日2回)
参加費:300円

②戦場ヶ原ナイトハイキング(8月の毎週土曜日、但し31日は除く)
参加費:800円

③中禅寺湖ナイトハイキング(8月の毎週日曜日)
参加費:800円

■企画展情報

①『《花遊びの会》植物画展』
平成25年7月1日(月)~8月4日(日)
色鮮やかな植物画を多数展示!
詳しくは、コチラ

②夏休み特別展 ~涼しい奥日光においで~
『夏休み 体験!発見!わくわく祭り おもしろ昆虫展』
平成25年7月27日(土)~8月18日(日)
世界のカブトムシ・クワガタムシの生体展示や、昆虫のペーパークラフトなどを毎日実施!
さらに、8月4日(日)は特別イベントとして、昆虫との触合い体験なども予定しています。
詳しくは、コチラ