日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2014.03.07
新・山の上からこんにちはvol.48

こんにちは、日光自然博物館です。
奥日光の自然情報を中心に、日光での話題や最新情報、さらに日光自然博物館のイベント情報をカテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしています。

■今朝の奥日光  -9℃(博物館周辺 8:30現在)

 2月15日の大雪以来、穏やかに晴れた日が多く、「雪解けも進んできたな」 と思った矢先、3月5日にまたドカッと雪が降った奥日光。

しかし、降る雪も徐々に湿った雪へと変わってきています。去りゆく冬の後ろ姿が見え始め、少しずつ春の予感を感じられるようになりました。

 そんな今日この頃、湯元で面白いものを見つけてきました。

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木の枝に何か刺さっています。なんだかわかりますか?

刺さっているのはこれ、

042711(2011年撮影)
全身メタルブルーできめた綺麗な昆虫、ツチハンミョウ。

 ・・・これはきっとモズはやにえというものではないでしょうか。はやにえとは、モズという鳥に見られる独特の習性で、捕えた昆虫やカエルなどの獲物を、木の枝や枝股にはさんだりする行動です。

話に聞いたことはありましたが、この目で見たのは初めてでした。この少し異様な光景に、最初私は不気味さも感じました。一体何のためにこんなことをするのか?後で食べるため?縄張りを宣言するため?さまざまな説がありますが、よくわかっていない部分も多いそうです。

 またそこから少し歩いたところにあるシウリザクラの木の冬芽にも

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ブスリ。 なぜかツチハンミョウばかりが犠牲に・・・。

 うーん、この辺りではツチハンミョウというと夏と秋によく見る昆虫。それが冬芽に刺されているということは、おそらく秋に発生した個体か?だいぶ前から食べられずにここにあったと思われる。

モズは繁殖期以降も、秋から冬にかけて単独で縄張りを持つといいます。そして最もはやにえが目立つのもこの初秋の頃。

もしかしたら秋に縄張り誇示のためにはやにえをするにあたり、一番手頃な獲物がツチハンミョウだったのかもしれません。

Dsc_0008

 こうした生活の跡を見ると、頭の中にその生き物の色々な姿が見えてきます。そして、そこに木があるからこそ、昆虫がいるからこそ、そこで鳥が生きていける。そういう生き物同士の切っても切れないつながりを改めて強く感じました。(あき)

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■企画展情報

地域の記憶展
日時:平成26年3月30日(日)まで 
江戸時代末期から奥日光で宿泊業をしていた「六軒茶屋米屋 井上志郎」にスポットをあてつつ、風景画、漁具、林業道具、ヨットの旗など当時の奥日光を物語る様々な品を展示しています。

※「平日月曜日」と「祝日月曜日の翌日」は休館日です。ご注意ください。