日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2015.06.12
新・山の上からこんにちは vol.112

こんにちは、日光自然博物館です。
奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

■今朝の奥日光  13℃ (博物館周辺 8:00時点)

今回は戦場ヶ原に花から実に変わったワタスゲを見に行ってきました。

ワタスゲについて良く知らなかったので、名前から写真でよく目にする白い部分を「花」だと思っていたのですが、実はあの白い部分は花の後にできる「実」です。

ですが取材日(6月9日)、朝から雨が降っており、ワタスゲの綿毛は雨に濡れてしまっていました。

皆さんは晴れた時と雨の時、両方のワタスゲを見たことはありますか?

晴れの日に限らず雨の日のワタスゲも見てみてください。私は両方を見る機会があり、天候の違いでワタスゲのイメージが変わって見え、楽しむことができました。

ちなみに私は暖かく晴れている時のワタスゲを見て、涼しげな雰囲気を与えてくれ、風になびく感じから「陽気な」イメージを持ちました。

そして雨に濡れていたワタスゲは種を飛ばせない天候から「いじけているような」イメージを持ちました。そう思うとなんだかかわいく感じませんか?

雨だから、といっても自然の中。たくさんの昆虫たちが活動していました。

雨に濡れないように頑張って葉の後ろに隠れているイモムシやクモ類が多く見られたのですが、中でも思わず観察してしまったのが雨を気にせず食事をするシリアゲムシです。

シリアゲムシは雄がお腹の端を背中側に持ち上げていることからその名がついた昆虫で、以前先輩解説員に教えてもらってから、顔の形から花の蜜だけを吸っている昆虫だとばかり思っていたのですがイモムシを食べていたので衝撃でした。

そして今回の一番の発見はセミです。セミといってもただのセミではなく、自然界の「生き抜き、命をつなげること」の難しさを感じさせてくれるセミです。

セミは他の動物に食べられてしまったり、生活できる環境でなくなってしまい死んでしまうことがあることは認識していたのですが、もう一つ、自然界にある「厳しさ」を忘れていました。

見つけたセミはなんと菌に犯され体がふくれあがり、変死してしまっていたんです。自然界には病院はないので自然界で病気になってしまうことは致命的です。そのことを改めて思い出すことができました。

一見、病気の生物は見かけると不気味に思いますがそのことを思い出させてくれる貴重な存在だと思います。  (Rin)

 

■自然体験イベント情報

『奥日光いきものつながり調査会~Season5-②~』
平成27年6月27日(土)
栃木県主催の調査系自然体験イベント。
今回は、中禅寺湖畔でのナイトハイキングです!
参加費無料、事前申込制です。

 ■企画展情報 

 『自然体験ハイキングのすすめ~感覚で楽しむ奥日光~』
 平成27年4月4日(土)~7月12日(日)

 実際の自然物等を使い、館内で自然体験をしていただく体験型展示です。
色々な感覚を活かした自然の楽しみ方をご紹介し、思わず外に出かけたくなってしまうような
展示を目指しました!!
ハイキングの前にぜひ、お立ち寄りください。

 
『植物画展』
平成27年5月1日(金)~6月30日(火)

“花遊びの会”の皆様にご協力いただき、約60点の力作を展示しています。
今年は無料スペースにての開催です。ぜひご覧ください。