日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2015.09.11
新・山の上からこんにちは vol.125

こんにちは、日光自然博物館です。

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、

カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

■ 今朝の奥日光は14 ℃ (博物館周辺 8:00時点)

今回は中宮祠の二荒山神社から中禅寺湖北岸の遊歩道を大崎という地名の場所まで歩きました。

戦場ヶ原では秋の花々が咲いていて秋の気配を感じますが、遊歩道の頭上を覆っている葉はまだ緑色で、秋の代表格の紅葉はまだまだ先のようです。

それでも何かあるはずだと「小さな秋」を探しながら歩いていると、緑色の葉の中に赤く色づき始めた実を見つけました。

ツリバナです。一見すると、おいしそうに見えます。しかし調べてみたら、色がついているだけでおいしい部分はなくて、鳥や動物をだましているらしいです。

小さな秋ではなく、面白い植物の「生存戦略」を見つけてしまいました。

それからしばらく歩いて大崎につくと、少し広めの開けた園地につきました。ここにはかつて、明治時代に活躍したトーマス・グラバーの別荘、昭和初期には高級官僚と各国の外交官が交流した「東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部」の拠点となった別荘が建っていました。

グラバーも倶楽部の会員も秘書とマス釣りを楽しんだそうです。どこか故郷の景色を思わせる奥日光の豊かな自然に、惹きつけられたからかもしれません。

そして、釣りを楽しんだ会員や各国の外交官たちは政治、経済、外交の問題までも話し合ったそうで「夏は外務省が日光へ移る」といわれていたそうです。

そんな別荘は昭和15年に漏電が原因の火災で燃え落ちてしまいました。今では石垣や氷室、暖炉の煙突を残すだけになっています。イタリア大使館別荘記念公園以外の別荘跡に奥日光が国際避暑地として繁栄したことを実感しました。

見渡すと、別荘の遺構や木々にコケや地衣類がたくさん生えていました。時が経ち、遺構が自然に包み込まれていくのを見ると、私たちは自然の中で生きているということを改めて認識します。

この園地から100年前の外交官たちが見た中禅寺湖に思いを馳せると、なんだかタイムスリップしたような気持ちになりました。自然と歴史を一緒に楽しめる奥日光をより一層魅力的に感じました。(はる)

 

■ 自然体験イベント情報

平成27年11月  8日(日)   「奥日光いきものつながり調査会③」 

平成27年11月 14日(土)    「奥日光星降る夕べ」

平成27年10月 18日(日)   「紅葉と歴史感じる湖畔さんぽ」

 

■ 企画展情報

平成27年9/5(土)~11/23(月)

 「あいらぶ写真館」 

 「ポスターで見る奥日光紅葉展」