こんにちは、日光自然博物館です。
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今回は、高山(たかやま)に登ってきました。
漢字は「高い山」ですが、実際には標高は1667mと低め。
奥日光に連なる山々と比べて、気軽に登山チャレンジができるかと思います。
実は、私にとっては今回が初・高山。
ただ、葉が生い茂る時期は眺めがあまり良くないというウワサを小耳に挟んでいましたので、
どんなものが見られるのか(そもそもおもしろいものが見つかるのか……?)、ドキドキしながらのスタートになりました。
登山道を歩いていくと、断崖のような谷を発見!
足をとめてながめていると、ふっと吸いこまれそうになって、思わずあとずさりをしました……。
もともとはなだらかだった地面が、長い年月をかけ、雨水の流れによって浸食されたもの、それが、山にできる谷です。
さらに浸食が進むと、けずれた谷が広がって、尾根が切り立ってきます。
さらにさらに進むと、今度は、するどかった尾根がけずれて、谷と同じくらいまで低く、なだらかになっていきます。
そして、ふりだしにもどります。
山は、私たちの想像もつかないような、途方もない年月をかけて、その地形を変化させているのです。
ちなみに、あとで調べてみると、高山はかなり浸食が進んでいる山らしく、
実は、奥日光の山々のなかでも最も古いもののひとつにあたるそうです。
標高もそんなに高くない、山頂からの景色もイマイチ……
あまりぱっとしない印象があるようですが、
「奥日光の長老の山なんだぞ!」と、胸をはって高山をオススメできる、素敵なところをみつけました。
ところで、さっきの谷の風景、
地面にはえているササが少なくないですか?
最初は雪崩に押し流されたのかと思いましたが、雪崩に負けてしまいそうな細い木はしっかり立っています。
では、なぜ?
答えをくれたのは、この子でした。
手前の小さなササよりも大きく育った、奥に見える植物の群落。
シロヨメナという、白くて小さなキクの花です。
実は、このシロヨメナ、シカが嫌う植物のひとつなんだそうです。
対してササは、ニホンジカの大好物。
高山はシカ侵入防止柵の外側になるので、好物のササはすっかり食べつくされ、苦手なシロヨメナがたくさん残っていた、というわけです。
シカなどの生きものが植物を嫌うわけはいろいろあるようですが、
植物によっては、葉っぱからいやなにおいがする、毒をもっているなど、天敵に食べられないように、みんな工夫をこらしているようです。
なかなかやるなあと、生きものにはおどろかされてばかりです。
ちなみに、高山の幕張峠方面におりたふもとには、一面のシロヨメナ畑がありました。
まだまだつぼみが多かったので、見頃はこれから。
可愛らしい反面、工夫をこらして身を守る、したたかなシロヨメナが、一面に咲き誇る様子を、近いうちにまた見に行きたいと思います。 (山)
■ 自然体験イベント情報
★「中禅寺湖畔ナイトハイキング2016」 平成28年8月毎金曜日 〈当日16時締切〉
中禅寺湖畔での生きもの観察を通して、夜の自然を楽しむナイトハイキングイベントです。
★「戦場ヶ原ナイトハイキング2016」 平成28年8月毎土曜日 〈当日16時締切〉
戦場ヶ原での暗闇体験や星空観察を通して、夜の自然を楽しむナイトハイキングイベントです。
★「戦場ヶ原ガイドウォーク2016」 平成28年8月毎土・日曜日 〈当日受付〉
爽やかな夏の戦場ヶ原を舞台に、大自然の魅力を楽しむガイドウォークイベントです。
★「歴史“も”感じるガイドウォーク」 平成28年9月18日(日) 〈9月11日(日)締切〉
西ノ湖や千手ヶ浜の大自然の魅力を、歴史などの面から再発見するハイキングイベントです。
■ 企画展情報
◆ 「イケメン!?昆虫パラダイス」 平成28年7月16日(土)~9月4日(日)
紹介します!昆虫という、奥日光のイケメンたち。彼らのひみつや、出会い方などを大公開!!
◆ 「意外と知らない!?日光のコウモリ展」 平成28年7月16日(土)~9月4日(日)
様々な調査に基づくデータで日光のコウモリをご紹介。これでコウモリがぐっと身近な存在に!