日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2017.03.24
新・山の上からこんにちはvol.203

こんにちは、日光自然博物館です。

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、
カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

■ 今朝の奥日光は-3℃ (博物館周辺 8:00時点)

今週の火曜から水曜にかけて10cm以上の積雪があり、奥日光はまた冬に戻ってしまったような景色になりました。

そんな中禅寺湖でも、春の片鱗が見られます!と先週お伝えしました
それならば、いろは坂の下ではもっと春を感じられるのでは!?と思い、今回はいろは坂を下って日光山内へと足を伸ばしました。

 

山内と言えば、東照宮の陽明門の工事が終わったということで話題を呼んでいます。
それを目当てにしてか、平日にも関わらず沢山のお客さんがいました。

山内の駐車場に車を停め、いざ出発!
……と、歩き始めて間もなく、春を感じられるものが道路脇の木立から降ってきました。

 

 

奥日光でも湯川沿いでよく聞こえる、ミソサザイという小鳥のさえずりでした。
(写真の個体はこの後、滝尾神社近くで撮影したものです)

高い澄んだ声で15秒も続く長いさえずりを何度も繰り返し、子育てシーズンに向けて準備をしているようでした。

 

このミソサザイ、大人のこぶしの中に収まってしまうほど小さく、全身が茶色なので、周りに溶け込んでしまい、なかなか見つけられません。

それでも姿を見つけたくてしつこく探していたら、突然ベルのような鋭い警戒の声を出されてしまい、申し訳なくなって退散しました。

 

ミソサザイの姿は逃してしまいましたが、他にもカワラヒワやアトリといったカラフルな小鳥の群れにも出会えました。

 

 

観光客がひっきりなしに訪れる場所なのに、ちょっと意識しただけで沢山の鳥に出会えたのは驚きでした。

建造物だけを目的にしていたら、こんなに野鳥たちと出会えなかったかもしれません。
人工物とひっそり、けなげに共存する自然を発見できました。

 

山内をぐるっとしたのち、北のはずれにある滝尾神社にも足を伸ばしました。

家光公墓所の近くから滝尾神社まで約1kmの林道は、観光スポットからそう遠くないにも関わらずとても静かで、社寺の聖域にお邪魔していると思うと身が引き締まるような心地がしました。

 

滝尾神社からの帰りは細い道路を使いましたが、途中、頭上に不思議なものを発見しました。

 

 

真ん丸にふくらんだ直径1cmほどの黒い花芽から、赤っぽい雄しべが覗いています。
調べてみると、フサザクラという、春を告げてくれる植物。

名前にはサクラとつきますが、サクラとは全く別の仲間でした。
満開になると房状に垂れ下がる真っ赤な雄しべが、満開の桜に似ているとしてつけられた名前だそうです。

この木は開花宣言までもう少しかかりそうでしたが、来週頃には彩り豊かになっているのではないかと思います。

 

まだ寒い日もありますが、生きものたちは春に向けて着々と準備を進めています。
これからは生きものたちの様子がものすごいスピードで次々変わっていきますので、その一瞬一瞬を逃さないよう意識して日々過ごさないと、なんだか勿体ないですね。そんな忙しくも楽しい日々が待ち遠しいです。(山)

 

■ イベント情報

★「奥日光バードウォッチング三昧(プレDCイベント)」 平成29年4月30日(日) 〈4月20日(木)締切〉
 バードウォッチングの聖地奥日光で、渡来し始めた夏鳥をはじめとした野鳥たちをたっぷりと楽しみましょう。

★「戦場ヶ原春のガイドウォーク(プレDCイベント)」 平成29年5月3日(水祝)~5月7日(日) 10:00~/13:30~〈当日受付〉
 戦場ヶ原で早春の生きものさがし!短距離のお手軽ハイキングイベントです。

 

■ 企画展情報

★「大正・昭和の晃山旅情~湖畔の宿の記憶~」 平成29年2月18日(土)~4月23日(日) (休館日を除く)
 激動の大正・昭和時代、多くの来訪者の心に残った思い出の宿を中心に、奥日光の記憶をご紹介します。