日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2020.09.11
新・山の上からこんにちはvol.381(追記あり)
奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

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本日の奥日光の天気は晴れ、気温は18℃

最近は天気がどうもぐずついていて、特に午後には雷雨の日も多く、雨の日には半袖ではちょっと涼しすぎるかなと思う奥日光。まだ9月も2週目ですが、自然はすでに次の季節へ向かいつつあります。

 

その中でも、木々の紅葉でなく草原の紅葉、草紅葉(くさもみじ)から始まる奥日光の初秋を探しに、小田代原へ行ってきました。小田代原や戦場ヶ原などの草や低木たちが、赤や薄黄色、白、薄紫といった様々な色へ変化していきます。

 

取材に行った一昨日は、予報では曇天~小雨でしたが、奇跡的に晴天に恵まれました。

赤沼車庫から低公害バスへ乗車し、12分、小田代原展望台からの景色はコチラ!

 

 

やっぱり気持ち良い!

原の真ん中あたりに見えるのは、イネ科の植物の白い穂、ホザキシモツケなど様々な葉の緑。

それに混じる赤茶は、ホザキシモツケの熟した実です。

 

 

草紅葉の終盤には葉っぱも燃えるような真っ赤になりますが、それまでの間にイネ科などの実の白や薄紫、ピンクが目立ってきて、どんどんモザイク状にカラフルになっていきます。

気温や降水量などにも左右されますが、今月下旬には草紅葉の本領発揮となりそうです。

 

色づき具合は博物館のブログ等でも随時お知らせしますよ!

 

 

 

草紅葉は「旬に向かっているところ」ですが、今回は「今が旬!」も2つ発見!

 

ひとつは小田代原へ行く途中で。

低公害バスで小田代原へ向かう途中、石楠花橋の上を通って湯川を渡ります。橋の下を覗き込むと・・・

 

 

湯川沿いの岩場で、ダイモンジソウが見頃ピーク!

名は体を表すとはまさにこのこと。

山地の、湿った岩場という限られた環境にしか生育しない、ちょっとレアな植物。出会えると嬉しくなる花のひとつです。

 

 

もうひとつの「旬」は、小田代原展望台から徒歩15分ほど先。西ノ湖への分岐を進み、ミズナラやカラマツの薄暗い森を抜けると・・・

 

見渡す限り一面にシロヨメナの花畑が広がっていました。

ただこれは、奥日光の自然環境を考えると、ただ素直にキレイ!やったー!と喜べない景色。

 

シロヨメナは、草食のニホンジカが嫌う植物のひとつ。シロヨメナばかり、ということは、ほかの植物をシカが食べ尽くしてしまったということでもあります。シカの頭数が多すぎて植生が崩れてしまっているのが分かってしまう景色です。

 

食害から奥日光の植物、ひいては環境を守るための、これ。

 

 

本人ならぬ本シカも生きるために食べているだけ。でも数が多すぎるとそれは脅威となります。

環境を壊さないように、自然のバランスが崩れすぎないように、という取り組みが、奥日光では随所に見られます。

ハイキングにお越しの際には、美しい景観や自然のバランスを保つためのこういった取り組みにも思いを馳せていただきたいです。(山)

 

 

追記:

例によって、上でご紹介したものを動画にもまとめました。

静止画(写真)とはやはり少し違った味わいになっています。ご覧いただけると幸いです!

 

 

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