日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2020.10.17
この時期にあえて虫から感じる季節

紅葉シーズン真っ只中の奥日光。木々の色付きが着実に進み秋らしい風景になっていますが、季節の進みを教えてくれるのは木々だけではありません。

 

ここ数日間で何度か見かけたモンスズメバチのオスバチ。この時期になると現れる、秋を告げる使者(と勝手に呼んでいます)で、新たな女王バチと交尾するのが役目です。ただしその役目を果たせるのはごく一部だけ。他の多くのオスとの争いに勝った者だけが子孫を残すことができるのです。

見かけた個体の多くはどこか弱弱しい動くものばかり、もう女王を巡る戦いは終わったのでしょうか?

スズメバチというと毒針を持つ危険な昆虫の代表格のような存在ですが、オスバチに限っていえば別です。彼らは働きバチと違い毒針を持たないため人を刺すことは決してありません。

 

最近お客様をご案内中にご質問をいただいたのがこのトゲだらけの奇妙な虫について。

正体はトホシテントウの幼虫。幼虫で冬越しし、翌年の春に10個の紋を持ったテントウムシになります。日中でも気温が10℃を下回る日が多く、虫にとっても厳しい時期。彼らも越冬の準備でしょうか?

 

ちょっとした怪獣のようですね。

この痛そうな見た目に反して、実はこのトゲはとてもやわらかく触ると痛いどころか、むしろ気持ちいいくらい!

 

危なそうな見た目の虫が実は安全である一方、地面をのそのそ歩く一見無害そうなこの虫にはちょっぴり危ない一面も・・・。

春先によく見かけ、秋になるとまた現れるヒメツチハンミョウの体液には有毒物質が含まれていて、これが皮膚に触れると水ぶくれを起こします。瑠璃色の美しい体色にひかれて無造作に手を出してしまうと手痛い反撃をされてしまうかも!?危なそうな虫が危なくなかったり、危なくなそうな虫が危なかったり、小さくても広い虫の世界は難しい、でも面白い。虫たちも我々と同じように移り変わる四季の中で生きています。秋が深まりやがて冬へと向かう中、彼らがどのように生きるか、ちょっぴり目を向けてみませんか?(松)