日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2020.12.04
新・山の上からこんにちはvol.393

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

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今朝の奥日光の天気は晴れ、気温は0℃(8:00時点)

 

冬の奥日光らしく風の強い日が増えてきた中、今回は光徳沼周辺へ。

 

 

 

日陰では先日降った雪が少し残っていました。

 

 

 

光徳駐車場から歩き始めてすぐにオレンジ色の絨毯がお出迎え。

正体はカラマツの落ち葉。カラマツは日本の針葉樹の中で唯一、落葉性のマツの仲間です。

紅葉の時期には終盤を黄色に彩るカラマツですが、落葉した後も細かくて柔らかい針状の葉っぱが地面に降り積もり、とってもふかふか…!

 

 

森のずっと奥まで続くオレンジ色の道はレッドカーペットならぬオレンジカーペットのようで、まるで自分を歓迎しているかのようにも思えてきます。

 

カラマツの黄葉がきれいなのはもちろんですが、落ちた葉を踏みしめながら森を歩くのも私の密かな楽しみです。

そんな森の中を進んでいるとふと頭上から「ヒッ、フッ」とまるで口笛のような小さな音が聞こえてきました。

 

 

吹いていたのは人間ではなく、「ウソ」という鳥の鳴き声でした。

体長は15㎝ほどで、オスは頬っぺたが赤く、丸くてころんとした可愛らしい体格をしています。

 

少し変わっているなと思われた方も多いと思う「ウソ」という名前。

一説では「嘯く(うそぶく)」という言葉から由来しているとされています。「嘯く(うそぶく)」には古くから口笛を吹くという意味があり、まるで口笛を吹いているかのような鳴き声からついたのでは、と言われています。

「ウソ」の鳴き声は森の中で聞くと声量が小さく、口笛のような音が柔らかく響き渡ります。この鳴き声に出会ったときにはぜひ耳を澄まして聞いてみてくださいね。

 

また、今年はズミという樹木の木の実が豊作で、それを食べにやってくるウソもしばしば観察することができます。

ズミは直径5㎜ほどの木の実ですが、ボロボロと口から果肉を落としながら食べていました。まるで小さな子供のような食べ方に微笑ましくなる半面、地面に落ちた果肉を見るとときどき種子も一緒に落ちてしまっていることに気が付きました。

 

(ズミの木の実)

 

(口からボロボロと落としながら食べるウソ)

 

じつはこれはズミにとってはあまり良いことではありません。

野生動物に木の実を食べてもらう樹木の最大の目的は、丸ごと木の実を飲み込んでもらい、その動物の移動力を利用して、新しい土地へと種子を運んでもらうことです。ですが、その場で種子を落とされてしまうと発芽をする可能性はありますが、新しい土地で芽吹くチャンスは失われてしまい、生育分布を大きく広げることが出来なくなってしまいます。

 

とはいえ、ウソも生きるために食べているのであって、悪いと簡単に言い切れる単純な話ではありません。しかし、今回の場合のように片方にとっては都合が悪いこと、というの自然の中ではよくあります。そんな良いこと悪いこと、すべてがごちゃ混ぜになっているものが自然であり、魅力なのだと感じています。

この時期はバードウォッチングなどで野鳥だけに目がいきがちですが、双方の視点から自然を見ることで、より一層自然の中での植物や野鳥への違った見方、観察が楽しくなると思いますよ。(梅)

 

 

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