終業後の事務所。
「あっ!!!」と何やら興奮した様子のスタッフにつられて、天井に目を向けると、
「ヤマトニジュウシトリバだ!!」
それがどんな生きものの名前なのかさっぱり分からないまま、カメラ片手に椅子によじ登り接近。
翅の両端の長さが1cmそこそこの、蛾でした。
「なーんだ、蛾かあ」で、終わりにしてはいけませんよ。さらに接近。
色合いこそ地味ですが、翅にご注目。
鳥の羽根の芯(羽軸といいます)のようなものが見えますか?これが翅を形作っているのです。
6本の羽軸(のようなもの)でひとつの翅(前翅や後翅)が形成されていて、左右前後4枚の翅で6×4=24。
おそらく漢字では「大和・二十四・鳥・羽」と書くのでしょう。
面白い姿と、長いけれど体を表すそのまんまな名前。
冒頭に出てきたスタッフは「この造形が素晴らしい。一番美しい蛾だと思う」と大絶賛。
確かに、1枚続きの翅、でない構造は不思議だなあと、他のスタッフともひとしきり盛り上がりました。
私としては、羽軸(のようなもの)は簡単に1本1本離れるのか、離れたら羽根のようにまたくっつくのか、など試したくうずうずしましたが、天井にへばりついた儚い蛾を傷つけずに捕まえて実験してリリースすることは、なかなか難しそう。ということで、たまたま死骸を拾えたとか、目の前をひらひら飛んでいたとか、そんな機会を狙おうと思います。
ちなみに、成虫の姿で越冬するようです。奥日光でも少しずつ暖かい日が増え、ワラジムシやカマドウマが闊歩する姿を見られるようになってきたので、生きものたちには春が来始めているのしれないなあなどと、小さな蛾を眺めて思う夜でした。(山)