ふと思い立って光徳沼に立ち寄り、水中を覗いて発見したのはまるで紐のように見える奇妙な物体。数はかなりのものです。その中には黒い粒のようなものも見えます。この奇妙な紐は奥日光でよく見かけるある生き物が残していったものです。
その正体はアズマヒキガエルの卵塊で、中の黒い粒は卵なのです。この光徳沼周辺はアズマヒキガエルの繁殖場所の一つであり、多くのカエルが集まりオスがメスを取り合うガマ合戦が行われます。しかし水中に卵塊が多く、周囲にカエルの姿が見当たらないことから、残念ながらこの場所でのガマ合戦は既に終わったと思われます。
先日訪れた際には見ることができませんでしたが、例年ここよりも遅くガマ合戦が行われる西ノ湖でならまだこれからチャンスがあるかもしれませんね。
流水中にあった卵塊は、流れのおかげで彼らの天敵であるヘビのような格好に。藻や泥が付着していない卵塊はこのように透明です。
ちなみにこの光徳沼周辺、アズマヒキガエルよりも早くヤマアカガエルという別のカエルが産卵のためにやってくる場所でもあります。同じ場所を2種のカエルが時期をずらして利用しているのです。
これがヤマアカガエルの卵塊、形はアズマヒキガエルのものと全く違います。この写真を撮ったのが4月初め、しかし1カ月たらずでアズマヒキガエルの卵塊ばかりに。花だけでなく、小さな動物たちも春を迎えてそれぞれ動き出しています。(松)