日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2022.02.04
新・山の上からこんにちはvol.450

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

※この記事の自然情報は1月28日時点のものです。歩道の状況は天候により大きく変わりますのでその都度最新の状況の確認をお願いします。

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今朝の天気は晴れ、気温は-7℃。(8:00時点)

 

今回は中禅寺湖周遊歩道の、中禅寺湖畔ボートハウス周辺から二荒山神社中宮祠付近までの区間を歩いてきました。雪が積もった森の中はひんやり冷たく、私以外に何もいないようにすら思えました。しかしそんなことはありません。目立たないだけで、森の中には生き物が暮らしている、暮らしていた痕跡が至る所に残されています。

 

おすすめの一つは枯れた木。カミキリムシやハチなどさまざまな昆虫により、産卵場所や住処、餌場などとしてよく利用されるものです。腐ってボロボロの木は、虫が中を掘り進む時や外に出る際にあけた穴だらけになっています。

 

利用する虫の例(キバチの仲間)

 

さらに、そのように木をボロボロに分解するサルノコシカケ科のキノコも、森の中でよく見ます。それにも穴があいていることがあるのです。

これもまた、昆虫の残した痕跡です。キノコムシやゴミムシダマシなどキノコを好んで食べる昆虫もおり、その中にはキノコの中に潜るものもいます。そういった虫があけた穴が残されていることもあるのです。

 

キノコを食べる虫の例(ゴミムシダマシの仲間)

木の中に虫が住んだり、木をキノコが分解したり、そのキノコを虫が食べに来たり・・・。何もいないように見える森の中でも生き物が残した痕跡を探すと、自然の中での彼らの日々の暮らし、さらには生き物どうしの自然の中でのつながりまでも見えてきます。そのつながりが見えると、自然観察がより楽しくなります。

 

今回のような観察は、生き物が少ない冬でもできるというのがポイントです。生き物がいれば、必ずどこかに痕跡を残しています。それを観察して、痕跡の主が何をしたのか、どのように生きていたのか考えてみましょう。それだけで面白いですし、そうして考えることで生き物が活発な他の時期の観察も、より一層楽しいものになるでしょう。(松)

 

★★イベント情報★★

少人数での実施、スタッフの体調管理やツアー中のマスク着用、お客様を含めた密集防止、手指消毒の適宜実施等、感染症対策を取った上で、自然を満喫できる各種ツアーを多数企画しています。

※新型コロナウイルス感染拡大防止の関係で内容・開催日程を変更する可能性があります。ご了承ください。

ラインナップはコチラ→1月2月3月

 

おすすめイベント

 

 ○雪上ナイトハイキング【2022年2月11日(金祝)/19日(土)】

  奥日光で大人気のスノーシュー体験!その中でも珍しい「ナイトハイキング」イベントです。
  活動場所の光徳周辺の森は野生動物も多く生息し、天気が良ければ満天の星空も広がります。昼間とは違った魅力が味わえ     

  ます!

 

 ○【令和4年3月6日(日) くらしをノゾキ見!?】いきものの秘密観察会

  まだまだ寒く何もいないように見える森の中ですが、いきものたちが隠れていたり生活の痕跡が残っていたりします。

  野外での観察と、室内でのレクチャーで、いきものの世界をのぞいてみましょう!

 

 

 (いずれも先着順となっておりますので、ご希望に添えない場合はご容赦ください。)

 

☆☆企画展情報☆☆

冬の企画展 地域の記憶展「国立公園指定以後 湖辺に棲む ―住環境意識の変容」

長い奥日光・中禅寺地区の歴史の中で昭和9年の国立公園指定以降の人々の「住環境意識の変容」にスポットを当てます。奥日光中禅寺を取り巻く状況や人々の暮らしの変化と絡め、多くの貴重な資料で綴る物語・・・ぜひご覧ください。

期間:2021年12月18日(土)~ 2022年4月17日(日)