日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

    2024.11.22
    新・山の上からこんにちはvol.588

    奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

     

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    今朝の博物館周辺の天気は晴れ、気温は4℃。(8:00時点)※下記の情報は11月20日(水)時点のものです。

    最近は、朝晩は気温が氷点下になることも多いので、ダウンジャケット、手袋、ネックウォーマーなどの防寒具は必須です。また、木道の凍結、氷が融けてぬかるむ事もありますので、トレッキングシューズなどがあると安心です。

     

    そんな冬一歩手前の今回は、光徳を流れる逆川沿いの森を歩いてきました。光徳駐車場から光徳入口までの片道40分程の道のりです。まずは駐車場から10分程の光徳沼へ向かいます。

    光徳沼では周りの木々はすっかり葉を落とし、少し寂しげな景色に感じましたが、林の中には一本だけ枝全体がオレンジ色や赤色に染まっている様に見える木がありました。

     

    ズームしてみてみると、ズミの木に絡みついた、つる植物のツルウメモドキの実でした。

    落葉した景色の中では、まるでスポットライトを当てられているかのように目立って見えました。

     

    光徳沼を越えて10分ほど歩くとウラジロモミが増えてきます。針葉樹であるウラジロモミの森はこの時期でも葉を茂らせていて、静かで深い森の雰囲気を堪能できました。

    この辺りの雰囲気が気に入ったので、帰りがけには少し腰を下ろして自然の音を聞きながら浸ってみる事にしました。聞こえて来る音は、逆川のせせらぎ、枯葉が地面に落ちるカサっという音、そしてモミの木の中からは「チーチー」というか細い鳴き声が聞こえてきました。

    声の正体は日本一小さな鳥であるキクイタダキの鳴き声でした。(写真は過去の物です)全長10cm、体重5gという非常に小さな体から発する声はとても小さく、歩いているだけではなかなか気づくことが出来ませんでしたが、止まってみたからこそ気づくことが出来ました。

     

    じっとしていたのでさすがに寒くなり、駐車場に戻り始めて川沿いを歩いている時に、今度は川の方からピチピチっという音が聞こえてきました。逆川を見ると、上流へ泳ぎ去る魚の姿がぼんやりと見えたので、光徳沼周辺で水中をじっくり探してみると、今度ははっきりとその姿が見えました。

    カワマスです。寒さが厳しくなり始める今の時期はちょうど産卵の時期のようで、繁殖期ならではの鮮やかなオレンジ色のお腹をしたオスが、川底でメスに寄り添うように泳いでいました。まさに産卵が行われる直前だったのかもしれません。

     

    今の奥日光では寂し気な景色・人がいない・寒いなどと、マイナスなイメージな感想も浮かんでしまいますが、今回はそんな時だからこそ気づく・聴こえる・見えるものがありました。この時期になれば奥日光はシーズンオフ、ではなく、新たな楽しみ方が出来るシーズンに突入したのだと私は思います。(鈴)