日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2025.03.28
新・山の上からこんにちはvol.605

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

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今朝の天気はくもり、気温は7℃です。(8:00時点)※下記の情報は3月26日(水)時点のものです。

 

今回は光徳駐車場から光徳入り口までの区間を歩いてきました。

逆川とミズナラやモミの林の間を歩く往復で3㎞ほどのコースです。

 

先週に一晩で50センチほど積雪する大雪があったのでコースの状況が心配でしたが…

トレースがあり、雪が締まっいたのでツボ足でも問題なく歩けました。ただし、少しでも踏み外すと足首まで埋まってしまう

場所もあるのでご注意を!

また、日陰では一度溶けた雪が再び凍って滑りやすい状態になっていました。

足元はスノーブーツに加えてチェーンスパイクなどの滑り止めがあると安心です。

 

そんなコンディションのなか歩いているとガサガサという足音が聞こえてきました。

「もしや?」と思い周囲を見渡すと予想通り木々の奥で数頭のシカを発見!

(写真に収められたのは一頭のみでした…)

ここまで書くとシカと出会えることが分かっていたように見えますが、シカは積雪量が多いと餌となるササなどが雪に埋もれてしまうことや雪に足を取られ活動が制限されるので、冬場は雪の少ないところに移動します。

今回歩いたエリアは日当たりが良い場所が多く比較的雪が少な目になるので、シカが冬を越すために利用する場所なので期待していたら狙い通り出会えたという形になりました♪

 

ただ、その近くには力尽きたシカの亡骸も…

(周囲に散乱していた体毛のみUPします。)

今年は冬全体を通して雪が多く、シカが冬を越すには厳しい条件だったと考えられます。奥日光では比較的よく見かけるシカも、いつ飢え死にをするかわからないギリギリを生きているという厳しさを実感させられるワンシーンでした。

 

そんな一方で、

厳しい冬を乗り越えて活動していた生き物がいました。

日当たりの良い場所を歩いているとなんと雪上をチョウチョが飛んでいたのです!

このチョウの正体は「テングチョウ」。

大きさが親指の第一関節ほどのチョウですが、なんと成虫の状態で冬を越し、春になると活動を再開して産卵するという珍しい生態をしています。その羽ばたきは一見すると優雅ですが、その裏には厳しい冬を乗り越えた確かな力強さを感じました。

 

今回は今年の冬の厳しさを目の当たりにする場面にも出会いましたが、そんな冬を乗り越え来る春に向けて活動を始めた生き物のたくましい姿に出会うことができました。まだ雪が多く残る景色の中だからこそ輝く、命の躍動にぜひ奥日光で出会ってみませんか?(福)

 

今回のコース

今回紹介したコースは赤ライン部になります。

この時期の奥日光は路面状況が刻一刻と変わりますので足元の装備をしっかりと準備したうえでお越しください。

 

お知らせ

令和7年4月19日(土)より春の企画展「奥日光の野鳥展」が開催となります。

ただいま準備中ですので、ぜひお楽しみにお待ちください。 詳しくはこちら